大正後期から昭和初期のわずか10年ほど、京都を中心に一世を風靡した画家がいました。
名を‘小林かいち’(1896~1968)といいます。
大正12年、京都の「さくら井屋」で売り出された、かいちデザインの木版絵はがきや絵封筒はピンクやブルーのグラデーションや赤と黒の明快な対比の色彩の中に、極端にスリムな女性の嘆き姿、十字架や教会、トランプや薔薇などを配したモダンなもので、アールデコの影響を強く受けながらも、独自の抒情性をシンプルな画面構成と色彩で表現し、多くの女学生たちを魅了しました。また、谷崎潤一郎の小説「卍」には‘かいち’の絵封筒に関する描写があることからも、当時の人気の高さをうかがい知ることができます。
しかしながら、戦後には‘かいち’の存在は少しずつ忘れ去られ、一部の好事家の間では知られてはいたものの、多くの人々の記憶からは消えてしまいました。
ところが1990年代以降、海外コレクターによる日本の絵はがき展が相次いで開催されたことにより、再び‘かいち’の作品が注目を浴びるようになります。
2008年には、遺族が名乗り出たことによって少しずつですが経歴も明らかになっていきました。それでも、まだ画業の全容は謎のままです。
徐々にですが今再び注目されはじめている、謎の抒情画家‘小林かいち’の妖しさと儚さ、刹那的でスタイリッシュな展覧会は如何でしょうか?
木版画
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まぼろしの京都アールデコ
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